2024年05月02日

「食彩の王国」裏話

先週は、たくさんの方々に「食彩の王国」を観ていただいたようで、海外在住のお客様からまで「観たよ!」とご連絡をいただき、とても嬉しかったです。ありがとうございました。

撮影のご依頼をいただいて、さあ、葉山牛で何を作ろうかな?と考えていた時、落合シェフに試食していただく一皿は、遡ること20数年前、銀座のラ・ベットラ・ダ・オチアイで働いていた時に落合シェフが肉の塊に金串を刺して中心まで熱が通っているのを確かめている姿が格好良くて、イタリアで働いていた店では見たことのないやり方だったこともあり、へー‼︎そういうやり方があるのか‼︎と見習ってやってきたことを思い出し、葉山牛に絶妙に火入れしたものをお出ししようと思ってタリアータとタルタルをお作りしました。
肉をレアに焼く「レア」は中心が生の状態の焼き方だと思っていらっしゃる方も多いようですが、レアの焼き加減というものは、仕上がりが「生」ではいけないんです。しっかりと中心まで火が通って、肉汁を閉じ込めつつ加熱し過ぎず柔らかさとジューシーさを保ち、切った断面の中心は、鮮血の赤ではなくて、火が通った上での赤い色でなくてはならないんです。そこを落合シェフに言及していただけて、感無量と申しますか・・・(涙)、本当にホッとしたし、嬉しかったです!
妻も同時期にラ・ベットラで働いていて(妻の方が先に働いていたので「先輩」だったのですが)、妻と出会って今一緒にお店をやっているのも、落合シェフのおかげなので、その落合シェフ直々に葉山牛のストゥファティーノを作っていただいて「奥様やお子さんにも作ってあげて」と言っていただいたのは、しみじみと、落合シェフとのご縁とこれまでの歩みに感謝する瞬間でした。
落合シェフとの撮影当日は緊張しましたが、同時にとても楽しく、勉強になりました。
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もう一品、作り方と完成品で紹介されていた料理は、サルデーニャ島のLa Panada Sarda(ラ・パナーダ・サルダ)です。サルデーニャの方言ではSa Panada(サ・パナーダ)と言います。
このブログを読んでくださっている方々の中にはご存知の方も多いと思いますが、イル・リフージョ・ハヤマという店名は、サルデーニャ島で働いていたレストランIL Rifugioの店名を使わせてもらっています。
サルデーニャのイル・リフージョで働いていた時に店主であるSilverioに、なぜIl Rifugioと名付けたの?と聞くと、「人々がそこを目指して行く場所だから」(リフージョはイタリア語で、山小屋や避難所、隠れ家を意味します)と言われて、うわぁ、深いなぁ、いいなぁ!と思い、当店は電車の駅がない葉山町の、比較的賑わっている森戸海岸界隈よりも更に奥にある一色の、車が通る表通りから少し入った場所にあるので、わざわざ目指して来ていただかないといけない場所であるし、訳して「葉山の隠れ家」という意味合いも持たせられるし、と考えて付けた店名です。
イル・リフージョの家族には本当に親戚のような付き合いでずっと気にかけてもらったりお世話になっていて、その恩返しではないですが、まだまだ日本で紹介されていないサルデーニャ料理はたくさんあるので、サルデーニャの料理をご紹介したいと思って作りました。

パナーダの生地を練って準備して
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玉ねぎ、じゃがいも、セミドライトマト、オリーブと共に炒めた葉山牛を入れて
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蓋をしてオーブンへ
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サルデーニャ産のコルクで出来たお皿にのせました
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これはヌラーゲ文明の頃からあるという古〜い料理で、羊飼いが羊肉を詰めて作ってお弁当のように持って行ったりもしていたそうですが、地域や家によって様々なレシピがあります。
スペインが侵略した際に自国に持ち帰ってアレンジをして、エンパナーダという小さめのカルツォーネのような手の平サイズが出来たようです。そこからエンパナーダは中米や南米にも広まって定着したようですが、サルデーニャの人々は大きなサイズのオリジナルを守り続けて、祝祭日やお客さんが家に来る時に作ったりします。
ジャガイモや玉葱が肉の旨味を吸い込んで、肉や野菜の旨みを生地が吸い込んで、香りと旨味が閉じ込められて美味しくて栄養バランスも良くお腹も膨れる一品です。
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サルデーニャへの隠れたこだわりは実はこんなところにも↓
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サルデーニャ島のARGIOLASのワインのコルクを金串の持ち手にして使っています!
アルジョラスのワインは季節のおすすめグラスワインでもお出ししていることがちょくちょくありますので、召し上がってみて下さい!

ある日の葉山牛ヒレ肉のタリアータ
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⭐︎⭐︎⭐︎当店について⭐︎⭐︎⭐︎
ランチ、ディナー共に、日々内容が少しずつ変わるおまかせコースのみです
当店では純粋にその瞬間の料理との一期一会をお楽しみいただきたく、料理撮影およびインターネット上への投稿はご遠慮いただいております。予めご了承のほど、お願い申し上げます。

⭐︎御予約やお問い合わせの御電話をいただく時間帯について⭐︎
開店時間前後やランチタイム、ディナータイム真っ只中の時間帯には、調理とサーブで手が離せないことが多いため、全く出られないことや、ゆっくりとお応えできないこともございます。
1ヶ月先の御予約受付開始時刻である10時30分から11時20分頃までの間、またはランチタイム閉店後14時以降18時15分頃までの間、あるいはディナータイムが落ち着く20時以降にいただけますと幸いです。
(***月曜ディナータイム&火曜日定休***)
御予約についての詳細はホームページをご確認下さい↓

【臨時休業・貸切】
5月12日(日)
5月22日(水)ディナータイム
posted by IL Rifugio Hayama-2- at 15:25| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする